ろぼたん製作日記(2005年前半)
- 2004-12-28
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4ヶ月以上もあいてしまった。
しかも読み返すと何やら情けないことが書いてあって削除したくなるが、しない。
次の Robo-One はどうするか。というのを急がず常に考えていたんだけど、
基本コンセプトは原点回帰。
最初に OmniHead を作った時の気持ちを思い出す。
- レギュレーション上の最大寸法には拘らず、無理のない範囲で小さく軽く作る。
結果、デカくて重いロボットに負けても仕方ないと考え、楽しくやる。
- 真面目に歩行を作る。いい加減パターン決め打ち職人芸歩行からは卒業したい。
- 構造はまた ABS + CFRP, ところにより一時アルミ。
ただしOmniCoveredの様に全て覆い尽くすことは目指さず、軽さと剛性を優先する。
という訳でまだまだ練り込みたい(「何回寝かせたかで良し悪しは決まる」(c)伊藤さん)
んだけど、年賀状という別のタイムリミットが来たのでCAD化する。
脚はいつもの足裏ヨー軸をやめて、私としては初めて股関節に持って来た。ついでに左右をギアでつなげて、1個サーボをケチる。そのかわり膝を2重関節に。
…結果として片脚6.5自由度というヘンな構成になってしまった。
胴、腕は前作 OmniCovered と同じく腰2自由度、片腕5自由度。
何かもう一工夫したいなー。
- 2005-01-16
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アレのために、OmniStriker を引っ張り出す。
昔のモーションデータが見つからずに焦ったが、なんとか発見。
とりあえず歩行を調整。なんとか歩ける様になった。
剣さばきがウケる様なので、少し追加。
しかし実戦での戦闘力はまるで無さそうやなー。
そうこうしてる内に、新型機の方もいったん仮組み完了。
今回こそもうちょいマシな歩行アルゴリズムをと思いつつ、
とりあえずパターン歩行。進歩が無い。
しかしそこそこカッチリとした感じで歩けていて、狙い通り
剛性は高そうなことが判り、とりあえず満足。
- 2005-02-19
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ようやく逆運動学ベースの歩行が出来るところまで来た。
(Windows, 多分要DirectX9, ウイルスは入ってないけど怖い人はダウンロードしない様に)
しかしここに来て、小さいロボット作りたい症候群が…。
今から J-class にエントリーするのか? ロボットは無からの作り直し、
締め切りは1週間早まり、親族は独身モンばかりで「適格者」も無く…。
といっても受け付けは明日までなので、可能性があるなら
とりあえずエントリーしとくか…。
しかしエントリーフィーもバカにならないし、
エントリーしておいて出場しないという結末もカッコ悪い。
迷う迷う。
しかし今回こそソフトに1ヶ月使えると思っていたのに、
余裕があると欲が出るもんなのか。
というかこんな欲の出し方すると思わなかった…。
- 2005-03-02
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ワールドレコーズのために古い機体を整備。
こないだ作った逆運動学ペースの歩行アルゴリズムを適用してみる。
やれば出来るというか、やっぱり妙な拘りは捨て、歩幅や脚上げ高さではなく
移動速度を優先たがバトルには向いているなぁ。(気づくのが遅過ぎ)
前日入りしたホテルにて、次の機体の組み立てと配線。
宿の机でハンダ付けは珍しくないけど、100mリールの電線を持ち込んだのは
初めてという気がする。(身だしなみ用品とかは何も持ってないくせにそれかいっ)
腕完成。
今回、配線は全て黒で統一するつもりだけど、配線を識別するための何か
(シールとかマーカーとか)を忘れてしまったため、「結び目の数」で識別。
あとでほどくのが面倒だった…。
行ってみたら2325RVの手にどこかで見たようなデバイスがついてて驚愕。
まぁ他人に真似されるというのはそれだけ評価されているということで、
光栄であり。
テレビの収録は待ち時間が長い。
次の機体の部品全部を持ってきて正解だった。控え室でせっせと脚の組み立て。
本番前なのでビールではない。
翌日、朝イチの新幹線に乗り、何事も無かったかの様に出社。
…と言うと真面目な勤め人の様だが、ロボット組み立ての続きをやってる様ではなぁ。
という訳で全身がとりあえずくっついた。会社なのでビールはない。
測ってみると1040グラム。懸念事項が一つ消えた。
- 2005-03-06
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とりあえず機体が小さいと持ち運びが楽。
グレンジャー袋にもすっぽり入る。
ロボットが普通のカバンに入るよ〜、と浮かれて帰宅したらプロポ持って帰って来るの忘れた。
取りに戻るのも面倒なので、
噂の無線プレステパッドをつないでみたり。
受信機も(殻を割れば)十分小さいし、インターフェイスがタイミング不要な
同期シリアルなので楽。これで 5V トレラントが保証されてればなー。
ちなみに一番時間かかったのは、内蔵の振動モータが動かないという現象。
さんざん悩んで、取り説を見ると「バッテリー残量が少ないと振動が止まります」。
…取扱説明書はよく読みましょう。
ちなみに振動は、今は通信の確認にしか使ってないけど、
加速度センサの値を反映させる予定。(無意味だが)
という訳でバタバタ歩行。
サイズが小さいと時定数も短くなるのはまぁ当り前だけど、
あんまりカッコいい歩きとは言えないなぁ。
- 2005-03-12
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(相変わらず)出発当日になってモーションを作る。
昇竜拳((c)カプコン?)ぽいのを作ろうとしたが、
ジャンプできないとそれらしくならんことに気がついたり。
歩行は最終的にこんな感じになった。
何か崖っぷち。
方向転換。
人間らしい動きとはだいぶ違うなー。
画像処理による誘導。縞模様を空間周波数で見つけて、そっちに誘導している。
テスト用のマーカーはこの後机の後ろに落ち、永遠に失われてしまった。
(ちなみに永遠に失われたものは他にもいろいろあると思われる)
最初、例によって色認識でやろうと思い、わざわざこんな旗を作った
(作らせた)けど、結局安定性が確保できずボツ。
本番の照明条件はよく判らないけど、白黒はさすがに見えるだろうということで、
今のアイデアに落ち着いた。
という訳でテスト用の旗は失われたので、本番用を作らねば。
- 2005-03-13
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という訳で本番の日。
予選の画像認識はうまく行ったが、本戦はあっさり初戦敗退。
敗因は、攻撃ダウンのないルールでは積極的に攻めると不利ということを
忘れてガンガン行ってしまった戦略上のミスが一番大きいと思う。ガク。
今回のロボットは勝ちに行く(=ルール上の最大の足裏を狙う)ことをせず、
「よく動くロボット」を目指していたけど、やっぱり勝たないと面白みが無いなぁ。
しかし反省する間もなく、次の戦いまでもう平日しか残ってない。
タブルエントリーってこんなにタイヘンだったのか…。
歯医者に通っている場合ではない。
- 2005-03-15
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CPU ボードが足りないので OmniCovered を引っ張り出す。
正座して脳を抜かれるのを待つロボットというのもケナゲというか残虐行為。
(しかし今頃こんなことやってて間に合うのか?)
こうやって比べてみると、OmniCovered はデカい。
そして造形はやはりこちらの方が凝っている面も多い。
技術が上がるにつれ手を抜いている様ではイカンなぁ。
- 2005-03-17
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等比級数。
このロボットで最も奥にあって最も交換したくないサーボが脚ヨー軸サーボだが、
どうしても交換というか変更したくなった。
よもやこの時期にこんな姿を見ることになるとは…。
この時期に見たくない状態その2。
- 2005-03-18
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SubZero では浮かなかった昇竜拳が、OmniZero だと少し浮いたり。
昔、苦労してジャンプさせようとしてたのは何だったんだろう?という気もする。
ちなみに波動拳は出せません。
歩きはこんな感じ。前後左右回転が連続的に変更可能。
出発の日になって、まだ工作機械を回し続け、各部の配線カバーを作成。
最終的にこんな形になった。
- 2005-03-22
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終了。予選2位、決勝は2回戦負けでベスト16。
ロボットの出来としては(珍しく今回は)自分で納得の行く出来だったので、
敗因は自分としか言い様がない。
(懇親会で"父"さんに「言い訳するな」と言われたしなー)
ランブルで優勝できたのが唯一の救いか。
しかし今回、当初の目標である「小さくてもよく動くロボット」は達成できたと思う。
それだけに、次に何をやるべきかが浮かばない。
やはり「大きくてもよく動くロボット」なのか?
(その前に操作の練習か…)
- 2005-06-02
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しばらく死んでいた。
この間、大型サーボを一通り調べてやっぱ良いサーボはないという結論に達したり、
えらく横柄な態度で二足歩行ロボットを全否定する発言が放送されてみたりと、
いろいろあったが何も進展していない。
6/5の
第2回ROBO-ONE Dash time trial にエントリーした。
自律でやれとのことなので、頭を全方位カメラに戻すことにする。
戻した途端デモに持って行かれて、帰って来たら首の皮一枚状態になっていた…。
強度が足りないことが事前に判って良かった、と思うしかない。
ちょうど ABS を強力に溶かすという溶剤を入手していたので、
接着試験とする。(強度不足は放置でいいのか?)
という訳で接着して復活。
肩の黒テープは画像処理を楽にするための魔法。野球選手の目の下の様なものか。
あくまで一時的なもののつもりなので塗装まではしないが、
きっと本番までこのままになるであろう。
で、撮れた画像。
…この解像度、この発色で何をせいっちゅうねん。
しかも静止しててこれなので、歩いていたらどうなるか…。
漢は黙って色調整、でいくか、何か別のアルゴリズム考えるか、
PSD か超音波センサ追加するか…
- 2005-06-03
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画像ベースでなんとなく動くプログラムは出来た…。
あとは現場の照明条件とか路面次第、といった所か。運次第とも言える。
- 2005-06-06
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今回、舞い上がってしまって画像なし。
ROBO-ONE Dash 1本目、坂本さん:13秒40, 自分:17秒13。
画像処理による歩行はきれいに動いて安心したが、30%ぐらい負けている。
よほどのことをしないと無理だと思い、順番待ちの間に
いろいろチューニングしてみるが、単純に歩幅を伸ばすのはほぼ無理で、
1歩の周期を2フレーム(33msec)だけ詰めるのが限界だった。
あと、スタート時のタイムラグも極力削除し、電源投入後いきなり走り出す
様にした。(いや、走らないんだけど)
2本目、坂本さんが13秒72, 自分が 13秒15(!)。暫定トップに立つ。
が、坂本さんに聞くと、最後の3本目は歩幅を10%位増やしてみると言っている…
自分のはもう余裕がない。
周期をあと1フレームだけ削って試してみると、よくコケる。
が、コケない時もたまにある。
前と同じタイムを出しても仕方ないので、このセッティングで勝負すること
にする。
3本目、坂本さん:13秒25。この時点で私の優勝が(ほぼ)決定。0.1秒差。
安心した状態で3本目を走らせてみると、何故か11秒台が出てしまった…。
計算上ここまで速くなるはずはないので、たまたま何かの固有振動数に
一致したとか画像処理の誤差が小さかった(向きを補正する時速度が落ちるので)
とか、そういう偶然の様な気がする。まだまだ判らんことだらけだ。
午後、ROBO-ONE 宇宙大会想定 time trial。
1秒遅れのカメラ画像のみを見ながら操縦するという競技で、
1本目、クリアは出来たがタイムは2位。1位は KHR-1 ベースの Dynamizer Jr.
ここで急遽、簡単過ぎるということで、映像遅延は3秒に変更された。
後の2本とタイムの基準が違うので、
それぞれの回でのトップタイム3人で優勝決定戦をやるというルールになった。
2本目、3秒遅れの画像を心眼で補完しながら操縦してたら
「ガシャン」という音が…。
その3秒後、画面上でも転倒してコースアウト。宇宙空間を漂ってしまった。
3本目、もう失敗出来ないので、歩幅を半分にした弱気設定で、
安全気味にクリアしたら何故かトップタイム。
その後、優勝決定戦では3台とも完走できないという情けない結果だったが、
到達距離で辛くも優勝させてもらい、この日は
ダブル優勝。良い日であった。
Robo-One 関連でははじめての「1位」じゃなかったかなー。素直に嬉しい。
- 2005-06-07
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また次の大会直前まで冬眠かと思いきや、いろんな人から写真もらったり。ありがとうございます。
前田武志
(メールアドレス本当に変更中)