ろぼたん製作日記(2008年)
- 2008-01-31
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あけましておめでとうございます。鬼は外。ちょっと冬眠しすぎた。
あと2ヶ月を切ったか…。例年にない遅いスタートである。
こんなんで間に合うのか?
とりあえず会社の机に歴代のを並べて自分にプレッシャーをかけてみる。
が、ガマの油が取れそうなだけで、特に何も浮かばない…。
ブラシレスモータを使いたくてたまらんのだが、どう考えても使うと
5kg を超えてしまう。5kg超えると足裏が 30%20% になって、さすがに苦しい。
5kg なら OmniZero.5 で、3kgなら OmniZero.4 でやり尽くしてるっぽいしなー。
何をやったら良いのか悩む。宇宙に行くか?
- 2008-02-11
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いろいろ迷ったが、大型サーボ+リンク無し脚という方針で設計。
リンク無しは久しぶりだが、干渉チェックが非常にラク。こんなにラクでいいの?という感じ。
フル屈伸の図。いつもこうやって、大雑把なモデルの段階で可動範囲とか
カバー形状とかを検討する。
あまり細かく作り込んだ段階だと修正が面倒なので、
荒いモデルで荒く確認し、徐々に細かくして細かい確認をしていく、
この粒度のコントロールが大切。
という訳で設計完了、切削開始。
組み立て、完成。配線類はまだだが、意外と手早く出来た。
…とまぁ、これくらい簡単に出来るといいんだけど。
現実に戻って考えると、上の設計だとやはり5kgを超えそうで、
サックリと破棄することにする。1週間くらい損した。
今の案は、一段階サーボを小型化し、もういい加減飽きたがリンク脚。
ちなみに、鏡像反転が面倒なので両足が左脚だが気にしない様に。
最後まで右足を作らないことも多い、かも。
試しに前回の腕と頭を置いてみる。
普段は全身新設計をモットーにしてる(というか結果的にそうなっている)けど、
置いてみたこれを見る限り、使い回しになりそうな予感。
いや、あくまで予感ですよ。
と思ってたら締め切りが1週間早まったり。
- 2008-02-18
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酒も飲まずタバコも吸わず育児もせず(もともとやってないのが2つくらいあるけど)、
ひたすらCADに向かう。
今回、重量制限が厳しい気がするので、あんまり好きじゃないけど
トラス気味に肉抜きしてしまった。
サーボホーンを真剣に肉抜きしたらギターみたいになってしまった。
本当にこんな追加工できるんかい?
ヘンな部品といえば、この剣もか。
真剣に設計して軽量化した結果であって、別にロボットが抜刀する訳ではない。
(昔そんなロボットも作ったなー)
そろそろ時間切れなので切削開始。今度こそレコード盤のオブジェとかじゃ
なく、本当にロボットの部品である。
とりあえずアルマイトが必要な部品だけ切り終わった。
あとはバリ取りしてタップ立てして曲げてアルマイトに出して
組み立てて配線してモーション作る「だけ」か。
- 2008-02-24
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ギター12本完成。冶具の上下を間違ったりしたけど、意外にうまくいった。満足。
いや、これは本題ではないのでこんなことで満足していてはいけない。
ギターのつくりかた。
よく考えたらサーボの耳も(相変わらず)要らないので切削。
思い返してみると、最初のロボット(OmniHead)から1度も、
サーボの耳を使っていないかも。
ロボット界の耳なし芳一…というか切るんだから武士の怨霊の側やな。
今回の片持ちベアリングはリテーナを入れてみた。
リテーナは本当なら全周つながってるべきだけど、
形状と加工の制約から無理なので、
単にボール間にビーズ状のものを入れているだけ。
しかしムチャクチャめんどくさい。途中3回くらいバラバラっとこぼしてしまって気が狂うかと思った。
今回のFRP部品の切削用レイアウト。
木曜日、さぁ削ろうと思ったら、FRPの寸法がこれ(400*330)ではなく500*250だった
ことを思い出した…。
何とか小変更で乗り切ろうといろいろいじってたけど、
結局全てレイアウトしなおし。
金曜日、さぁ削ろうと思ったら、そもそもFRPの手配をし忘れてることに気がついた…。
となると今週末は、やるべきことはたくさんあるけどやれることが何もない、
悲しい週末(≒終末)になるかと思ったけど、
1枚発掘した在庫と端材を使って優先度の高い部品だけでも先に削ることにした。
また死ぬ気でレイアウトしなおし。
で、ダメ元でカーボン屋に無理言ってみたら、今日発送、土曜着でOK。
なら最初のレイアウトで良かったんかよ…。ガク。
という訳で平和な家庭に持ち込まれる黒い粉と青い液体(ロックタイト242)。
こうやってみるとうっかり飲んでしまいそうで危ないな。
というかコーヒーにでも入れるか。甘いし。
結構がんばったつもりだけど、
まだまだ全然ロボットの形にならずに埋葬。ガク。
- 2008-03-04
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だいぶ組みあがってきたの図。
今回、コネクタ式だしケーブルの取り回しも十分余裕あるし、
私のロボットとしては珍しく整備性は良い気がする。
また廃材から訳の判らん形を切り出す。
使い方はこんな感じ。
怪しい突起は収納用。こんなモン作ってる場合なのか?
という訳でようやく全身の写真が撮れたり。
- 2008-03-16
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最終日にエントリー。今回もドタバタやな。
たまには初日にエントリーして、ロボットは完成してるし
もうやることがない、とか言ってみたい。
最後の週末。ネタ不足ということで、鉄棒を作ってみる。
とりあえず自力でぶらさがって、クルクル回る所までは出来たけど、
ある意味予定通りというか…2分間のデモに組み込める気がしない。
第一、こんなデカいもの東京まで運ぶのか?
という訳でこれは優先順位の下のほうに移動。
本当にやることが無くなったらやるレベルに。
そうこうしている内に時間切れ。平和な家庭で邪悪っぽいロボットを整備する。
ロボットの戦いは整備との戦いでもある。
もっとメンテナンス性を考えておくべきだった、とこういう時だけ思うが、
設計する時には忘れている。
低頭ネジ買うの忘れてて(というかこんな長い低頭ネジ無くて)、
泣く泣くグラインダーと金ノコでマイナスネジを作る、の図。
これも悪い設計の例やな。
- 2008-03-20
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この時期に急に思い立って足裏センサつけてみる。
それなりに有用そうな値は出てくるけど、何に使うかが難しい。ということで断念。
(それやったらこんな忙しい時にやらなくても…)
そんなことより緊急事態発生。4.9kg位だったと思ったけど、
いつの間にか5.05kgまで太っていた(!)
当然40%20%足裏で作っているので、何とか50g減量しないといけない。
という訳で(また今回も)出発前日に工作機械フル回転で部品を作り直すハメに…。
50gって案外重いというか、簡単には減らない。
そりゃ普通のサーボ1個ぶんだもんなぁ。
仕方なく外装取ったり、足裏作り直したり、
積層成型品を人間バキュームフォーミング(というか引っ張りフォーミング)で
コピーしたり。
という訳で何とかクリア。これでやっとスタートラインか。
歩行はこんなもん。今回は割と安心して見ていられる感じ。(初youtube)
普通のジャンプ。4cmくらいかなー。
片脚ジャンプ。体重5kgなのに結構浮いたので驚いたり。
それだけ馬鹿力ってことか…。ちなみに今日、指挟まれて死ぬほど痛かったけど、今のところまだ10本ついてます。
回転ジャンプ。ようやく180度回る様になったり。
ダンスっぽいやつ。歩行と完全に同期してみたり。
あとはロンダートとスロープと増し締めとフィルム貼りと予備部品用意と荷造りと…。
- 2008-03-23
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(当日は写真撮れず。すまぬ)
予選は1位。素直に嬉しい。
今回はセンサがどうとかあり得ないアクション
とか、そういった目新しい要素なしで、地道に規定演技をキレイにこなすしか
なかったので、どう評価されるかやや心配だったんですが、まぁ結果オーライ
ということで。
本戦は巨大なファイブに負けて4位。もっと上に行きたかったけど、
最近ではまだ良い方か。
巨大な壁と戦っている気分で、攻撃しても反動でこちらがスリップダウンしてしまう。2本取ったけど3本自爆といった感じで、勝てる可能性も0ではなかっただげ、
最も悔しいパターンか。
佐々木さんには前日に「お願いがあるんですけど…サインしてもらえませんか?」
とか言われてフツーに名前を書いたりしたけど、
あそこから既に戦いは始まっていたのかも知れん。恐るべし、ロボットフォース。
以下、とても有難いアドバイスの数々。
「あんなダンスみたいな攻撃、本当に勝つ気あるんですか?」(K研九所 Sさん)
「動きが遅いんですよ。滑らかな補間とかどうでも良いからガツンと動かさないと勝てないですよ」(チームT Aさん)
(ニコニコしながら)「あとは練習だけですね」(相場師 Sファミリーパパ)
「キングカイザーみたいにキビキビ動けないんですか?」(変形ロボのSさん)
…いや、的確なアドバイスだと思ってます。マジで。
以下、練習風景。
ロンダート練習中。そろそろ机が狭い(というか限界)。
とうぜん、みなさん期待している事態はこれですね。
このパターンもアリです。
あと、コーヒーぶちまけたり熱いハンダゴテが飛んできたりするパターンもあったけど撮影してませんでした。残念。
予選の通し練習。こんなん机の上で出来る訳ないか。
- 2008-09-27
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そろそろ始めんとなー。
というかもう締め切りが近いので慌ててエントリー。
前回のロボットは気に入っているので、今回はキープコンセプト+ちょっと大きめで。
いつも通り、CADに着色する余裕は無し。
大きいと転倒時に壊れ易そうなので、衝撃緩和用にいろんな所にバネを入れてみたり。
数えてみたら全身で27本だった。昔の命名規則だと OmniSpring になる所だった。
バイク/クルマ好きに受けそうな感じの部分。意味あるかどうかはまだこれから。
恒例の、平和な家庭に持ち込まれる邪悪なロボット(の一部)。
今回は運転しながら両面テープ剥がしたり
新幹線のなかでバリ取りしたりせずに済んだけど、
新調した食卓にブレーキクリーナで染み作って家庭崩壊の危機を迎えたり、
社員旅行のバスの中で黙々と設計して車酔いしたりはしたなぁ。
いつか、ラクラク参加出来る日は来るのか?
今回、大きな部品をバキュームフォーミングで作りたくて、
こんな装置まで作ったけど、樹脂の特性を甘くみてて玉砕。
思ったより伸びないし、大きいシートは均一に加熱するのが難しい。
バキュームをナメていた。
方針レベルでの変更が必要か。ここ数日の成果がゼロに…。
早く動きを作りたいんだけどなー。
- 2008-10-10
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結局ホテルに来るまで更新する余力無し。毎度ながらキツい。
なんか氷の彫刻みたいな涼しげな物体。
今思うと、このスケルトンモデルの方がカッコよかったような…。着色盆に返らず。
つや消しの赤系統は「ローズレッド」と「ルビーレッド」の二種類しか
売ってなくて、10分くらい悩んだ挙句、「ローズレッド」を選んでみたが、
塗ってみたら、どピンク。
っていうか、シャアザク色やな。それならそれで「ローズレッド」ではなく
「シャアザク」と表示して欲しいよ…。
今思えばこっちの方がカッコ良かったかもしれないスケルトン頭。
というわけでようやくソフト面に掛かれる状態に。
そうこうしてる間に、余ったカッティングシートを貼ってみたり、
うっかり家買ったりうっかり親が骨折したりと、あっと言うまに過ぎ去る
一週間だったり。
- 2008-10-13
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なんか実感が湧かんが、ようやく優勝。
練習して操作技術で勝つより、圧倒的なロボットで力技で勝つという方針で、
結果的にはまぁその通りに行って良かった。
スロープもちゃんと最後まで行けたし、予選デモも2位取れたし、
今回は時間無くて焦ってた割りに何とかなったなー。
しかしROBO-ONEの方が幼稚園の運動会より明らかに嬉しそうな顔をしているのは、
人の親としてはどうなんだろう…?
- 2008-10-16
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例によってまた冬眠しますが、冬眠前に思う所を。
私自身、ROBO-ONEはアマチュアの大会と見ていた面もあるので、
今回の私のロボットは正直、やり過ぎたかなという反省はあります。
「やり過ぎ」「極端」は私としてはいつものことで、私という人間の
制御ゲインが大きすぎるんでしょう。
ちょっとずつ詰めて最適値を求める人と、行き過ぎては戻りを繰り返す人が
いるとしたら、私は後者なんだと思います。
決勝の試合の内容が観客として楽しくなかったというのは、
その通りかも知れません。すみません。
悲願の優勝がかかっていて、必死でした。遊ぶ余裕はありませんでした。
「真剣にやらずに、油断して遊んでいて負けてしまった」
という試合を見たかったでしょうか?
それは相手にも失礼な行為かと思いますが、今回の私はそんなことを
考えるまでもなく、必死で、一度でも転倒するリスクは負えませんでした。
準決勝のアルクノン戦は、体重でも同クラスで、転倒しない様になんて
言ってられない、本当にギリギリの戦いでした。
負けててもおかしくなかったと思います。
もし今後、ROBO-ONEに重量制限が課せられるなら、私としては歓迎すると
思います。
大きくて重いロボットはそれ自体、とてもタイヘンなものなので、
ルールとして禁止されるなら、参加者としては楽になるからです。
私としては今持っているアドバンテージを失うことになって不利ですが、
どうせ毎回、ルールに合わせてゼロから作り直しているので、困ったなとは思いません。
大きくて重いロボットを作らなくて済むと思ったら、むしろ嬉しく感じるでしょう。
応援して下さっている方、ありがとうございます。
批判して下さっている方、御期待にこたえられなくてすみません。
今後もよろしくお願いします。
前田武志
(メールアドレス本当に変更中)